ライアー回し

 さて前回の続きです。この日(11/4)は、モーツァルトのドイツ舞曲K.602の3曲目「ライアーひき」のために、珍しい楽器が登場しました。その名もライエル、英国風に言えばハーディ・ガーディ。

 この日この楽器を演奏するために、わざわざ浜松ヤマハ楽器博物館から招聘されたのは、嶋和彦氏。開演前にロビーの一角で、楽器の簡単なレクチャーとデモンストレーションが行われました。(本番前のロビーコンサートは札響の定期で何度か経験しましたが、グ○コのおまけのようで嬉しいものです)

<img src="http://www5f.biglobe.ne.jp/~kuru_rin/ongakukan23.jpg">

 この楽器を短い文章で説明するのは至難の技です。私は早々に諦めました。興味のある方は下のURLをプチッとクリックして、その中の「Vielleとはどんな楽器?」を開いてみて下さい。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Miyuki/8316/index.html

 ただどんな音がしたのかだけは伝えておかないといけませんね。手回しヴァイオリンとは言うものの、ヴァイオリンの弦を何でどう擦ったらあんなチンケな音が出るものでしょう。ジャーコギーコ・ギャーシュジェーギ鳴ってました。嶋氏も実演しながら、これ以上いい音は出ませんなどと言って、取り巻いた客を笑わせていました。

 そう言えば、シューベルトの歌曲集「冬の旅」の終曲も「ライアー回し(辻音楽師)」でしたね。何とももの悲しい歌詞とメロディの曲。

 この楽器はもともと、きれいな大ホールの舞台の上で何百人もの聴衆を前にして弾くようには出来ていないので、本番でも妙に場違いな哀れさ、滑稽さが漂っていたように私には感じられました。

 ハーディ・ガーディ。名前はハンプティ・ダンプティに似てユーモラスなんだけれど、この楽器につきまとう哀れな素性を思うと、ヨーロッパのどこか片田舎の道端の木陰、夕暮れ時分、人々の往来が繁くなる頃合いに、ぼろをまとった老人が同じように痩せ細った犬と小銭を投げ入れてもらう皿を傍らに置いて、ギーコギーコ弾いているのこそ似つかわしい気がします。

 それにしても当日の演奏、たった45秒のためにそよ風の如く現れ、美しくお辞儀をしてまた袖に戻られた嶋氏の姿も良かったし、演奏の邪魔をせず静かに見送った客席の良識にも、私は心の内で拍手を送ったものでした。

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